近年、「失業保険の受給額や受給期間を増やせる」などとうたう申請サポートサービスをめぐり、消費者トラブルが増加しています。東京労働局および国民生活センターは、SNS広告やインターネットを通じた勧誘に注意するよう呼びかけています。これらのサービスの中には、高額な費用を請求するものや、不正受給につながるおそれのある事例も確認されており、利用にあたっては慎重な判断が求められます。
国民生活センターによると、全国の消費生活センター等には、失業保険の申請サポートに関する相談が数多く寄せられています。例えば、「給付額が増えると説明されて契約したものの、実際には増額されず、高額な手数料だけを請求された」「契約後すぐに解約を申し出たところ、多額の違約金を請求された」といった事例があります。
また、特に問題視されているのが、不正受給につながりかねない助言を受けたケースです。SNS広告をきっかけに契約した事業者から、「医師の診断を受ければ受給期間が延びる」などと説明され、事実と異なる申告を勧められたという相談も報告されています。不正受給と判断された場合、給付金の返還に加え、延滞金や刑事罰の対象となる可能性があり、利用者本人に大きな不利益が生じます。
これらの申請サポート業者は、「誰でも簡単に受給額が増える」「手続きを任せれば安心」といった誇張した表現で利用を促す傾向があります。しかし、実際の受給額や受給期間は、就労状況や退職理由などをもとに、行政機関が審査して決定するものであり、民間事業者が結果を保証することはできません。
さらに、報酬を得て雇用保険の申請書類を作成・提出する業務は、社会保険労務士や弁護士など、法律で定められた資格を有する者に限られています。資格のない業者が実質的な申請代行や不適切な指示を行うことは、法令違反となるおそれがあります。
東京労働局および国民生活センターは、次の点に注意するよう呼びかけています。
第一に、「必ず給付が増える」「高額受給が確実」といった宣伝文句を安易に信じないことです。給付内容は個別の審査によって決まるため、確約されるものではありません。
第二に、契約前にはサービス内容、料金、解約条件を十分に確認し、書面で内容を残すことが重要です。
第三に、申請手続きに不安がある場合は、無料で相談できるハローワークを活用することが有効です。
失業保険の申請サポートをめぐるトラブルは、制度への不安や知識不足につけ込む形で発生しています。公的制度の手続きは原則として公的機関で行うことができ、必ずしも民間の有料サービスを利用する必要はありません。正確な情報を確認し、冷静に判断することが、トラブルを防ぐために重要です。
【国民生活センター「失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意 ─不正受給を促すかのようなケースも!─」】
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20251203_1.pdf
【東京労働局「「失業保険の金額・期間を増やせる」とうたう申請サポートにご注意ください。」】
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_01662.html